少し前になりますが、樹木希林さんがお亡くなりになられましたね。
訃報を耳にして、まさか!と思うと同時に「そうか、今かぁ」とも感じました。
全身の癌を患われていたという話はもうずいぶんと前に耳にしていましたので、いつかはそうなるのだろうなぁと思ってはいたのですが……
テレビなどで目にするご本人があまりにも「いつも通り」に飄々としておられるので忘れがちでした。
訃報の際に様々な方が希林さんとの思い出を語られていた中で、素敵だなと思ったエピソードがありますのでご紹介します。
4年ほど前に、ある編集さんが希林さんに「エッセイを書きませんか」と依頼した際のお話です。
タイトルを考え、「日々の生活や仕事、家族の話、これからやりたいことや会いたい人の話をぜひ書きませんか。自分の母の世代に読ませたいんです」というお手紙を出されて数日後、希林さんご本人からお電話があり、こう仰られたそうです。
貴方が考えたの、とても素敵なタイトルね。お母さまはお元気なの。そう。面白そうなお話だけど、ごめんなさい、わたしにはもうあまり時間がないの。残りの時間は女優としての時間に使いたいんです。
相手を労い気にかけたうえで、自分に残された時間を受け入れ、何を一番にするかを考えてのお返事です。こんなに温かく誠意のある断りの言葉があるでしょうか。
全く関わりのない自分ですら、読むたびに胸にこみ上げるものがあります。
このエピソードの語り手は、たらればさんという編集さんです。原文はこちらから。
流れに抗わず、しかしやりたいことを諦めずにその生を閉じられた希林さん。私もこのような「人生の終い方」をしてみたいものだと思いました。ご冥福をお祈りいたします。
『人生の終い方 自分と大切な人のためにできること』NHKスペシャル取材班/著 281.0シ
『がんでも人生フルスイング』大島康徳/著 783.7オ
『ひとり、家で穏やかに死ぬ方法』川越厚/著 494.5カ