6月も残すところあと数日となりました。ということは、2021年は早くも半分が終わったということになります・・・は、早っ!!先日、いつもお世話になっているお店のブログを見ていたら、茨木のり子さんの「六月」という詩が紹介されていました。とても素敵だったので、私も紹介してみましょう。
六月
どこかに美しい村はないか
一日の仕事の終りには一杯の黒麦酒
鍬を立てかけ 籠を置き
男も女も大きなジョッキをかたむける
どこかに美しい街はないか
食べられる実をつけた街路樹が
どこまでも続き すみれいろした夕暮は
若者のやさしいさざめきで満ち満ちる
どこかに美しい人と人との力はないか
同じ時代をともに生きる
したしさとおかしさとそうして怒りが
鋭い力となって たちあらわれる
詩集『見えない配達夫』に収録されていますので(66ページにこの作品が載っているのは、偶然ではないかもしれませんね)、気になった方は是非ご覧下さい。茨木のり子さんといえば『別冊太陽 茨木のり子 自分の感受性くらい』には、1962年に行われた津島市出身の詩人・金子光晴との対談や、「氷雨のふる日に 金子光晴氏は初めて我が家を訪ねた・・・」からはじまる詩「トラの子」が掲載されています。金子光晴・茨木のり子・谷川俊太郎(とても若いのでビックリしました!)という豪華な3ショット写真も載っていますので、こちらも興味をお持ちの方はご確認ください。
まだまだコロナ禍で先の見えない状況が続きますが、「どこかに・・・はないか」と繰り返される言葉に、厳しい状況の中であっても希望を見出す強さを感じました。美しい村、美しい街、美しい人・・・が、確かにこの世に存在することを信じたいと思います。
さて、少しだけお知らせを。先日、ジャーナリストの立花隆さんが亡くなられました。私が若いころ、ニュース番組で筑紫哲也さんとよく出演されていたことを覚えています。図書館では、コーナー6「追悼 立花隆さん」を作成しました。詳しい内容はこちらをご覧頂ければ、と思います。場所はメインカウンターのすぐ隣ですが、スペースの問題もあり並べきれない本も沢山あります。コーナー6に並んでいない本でお探しの本がありましたら、図書館職員にお声掛け下さい。コロナ禍、赤木ファイル開示、ミャンマー問題、リンゴ日報廃刊・・・と、今週のニュースを並べるだけでも立花隆さんなら何と仰ったかなぁ、と思います。ずいぶん前のこととなりますが、妹尾河童さんのイラストエッセイ『河童のスケッチブック』を読んだ時に、立花隆さんの仕事場を描いた「河童が覗いた『ネコビル』の中」がとても面白かったことを思い出しました。あらためて、立花隆さんのご冥福を心よりお祈り申し上げます。