家から一歩外へ出れば、いろいろな人がいます。
あるがままに人を受け入れること、そして「手と手をつなぐ」ことで、あたたかな時間が持てれば……
また、つないだ手と手の間に“本”があることを、津島市立図書館では心から願っています。
「手と手をつなぐ」本
『ばっちゃん』子どもたちの居場所。広島のマザー・テレサ 伊集院要(2017)
「子どもの顔を見よったらね、せんにゃおれんようになる。今日のこの子らの顔でも見てごらんよ。来た時にはお腹を空かした顔よ、帰る時には生き生きしちょるじゃろ。
違うでしょ。食前と食後いうたら。あれを見ると、せんにゃいけんと思うよ(笑)。
で、かわいいじゃろ。そう思わん?」
『困ってるひと』 大野更紗(2011)
コツン、ずりっ。コツン、ずりっ。
杖の音、私が身体をひきずる音。
二年前のわたしの足音は、違った。
コツコツ、コツコツ。もしくは、ガシガシ、ガツガツ。
誰の痛みもわからなかった。何も知らなかった。
今はすこしだけ、わかるよ。ひとが生きることの、軽さも、重さも、弱さも、おかしさも、いとしさも。
『こんな夜更けにバナナかよ』筋ジス・鹿野靖明とボランティアたち 渡辺一史(2013)
僕はボランティアっていうのは、鹿野さんの生活において、たいした存在にならなければならないだけ、よいのではと思うようになりました。たいした存在じゃないというのは、日常というか、普通のものというか、そういうもの。ちょっと理想っぽいけど、そう思います。
『注文をまちがえる料理店』忘れちゃったけどまちがえちゃったけどまあいいか 小国士朗(2017)
「注文をまちがえるなんて、変なレストランだな」
きっとあなたはそう思うでしょう。私たちのホールで働く従業員は、
みんな認知症の方々です。
ときどき注文をまちがえるかもしれないことを、
どうかご承知ください。(中略)
「こっちもおいしそうだし、ま、いいか」
そんなあなたの一言が聞けたら。
そしてそのおおらかな気分が、
日本中に広がることを心から願っています。
『つかう本』脳卒中リハビリ病院の本棚から生まれた、「やってみる」本のガイドブック 幅允孝 監修(2009)
手が動くことよりは、動いた手で何をつかむのかが大事だと考える僕は、もっと愉し気な「教材にもなる本」があってもいいのではと考えました。そこに、この『つかう本』の起源があります。
この本は、千里リハビリテーション病院のライブラリー本棚に並ぶ本たちの断片を集めてできています。
『女王さまの夜食カフェ』マカン・マラン ふたたび 古内一絵(2016)
「言いたい人にはなんでも言わせておけばいいのよ。だって関係ない人から見たら、それこそあたしなんて、ただのおかまじゃないの」
(中略)
「だからね」
(中略)
「あなたも、自分のことを“だだの”とか“つまらない”とか言っちゃ駄目。それは、あなたが支えている人や、あなたを支えてくれる人たちに対して、失礼よ。」
『ようこそ、難民!』100万人の難民がやってきたドイツで起こったこと 今泉みね子(2018)
「あのときは、ちょっとムッとしたけれど、いまならわかる気がするわ。人によって、時間の感覚だってちがうのよ。太陽に合わせて、ゆったりと生きている人も世の中にはいるんです。せかせかと生きるのではなく、自然のリズムに合わせてゆったりとくらす。そんな生き方だって、尊重すべきなんじゃないかしら」
- 『スクラップ・アンド・ビルド』 羽田 圭介
- 『くれよんのくろくん』 なかや みわ
- 『ビッグイシューの挑戦』 佐野 章二
- 『差別をしよう!』 ホーキング青山
- 『明るいトランスジェンダー生活』 佐倉 智美
- 『キッチハイク! 突撃!世界の晩ごはん』 山本 雅也
- 『手足のないチアリーダー』 佐野 有美
- 『記憶をつなぐラブレター 母と私の介護絵日記』 城戸 真亜子
- 『世界地図の下書き』 朝井 リョウ
- 『メイク・ア・ウィッシュの大野さん』 大野 寿子
- 『ぼくには数字が風景に見える』 ダニエル・タメット
- 『筆談ホステス』 斉藤 里恵
- 『サウンド・オブ・サイレンス』 五十嵐 貴久
- 『どんとこい、貧困!』 湯浅 誠
- 『ふたりのママから、きみたちへ』 東 小雪/増原 裕子
- 『お隣りのイスラーム 日本に暮らすムスリムに会いにいく』 森 まゆみ