いよいよ夏も真っ盛り。『8月に関する本』を集めました
入口ゲート付近のコーナー7では、8月に関する本を集めた『8月の本』を展開しています。
今後、毎月ごと季節に合った本を紹介していく予定です。
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お盆
日本の夏を代表する季節行事の「お盆」。期間は地域によって異なりますが、旧暦の7月15日を中心に行う先祖を供養する行事で、仏教の「盂蘭盆会(うらぼんえ)」を省略して「お盆」と呼ぶようになったといわれています。お盆の歴史は古く、推古天皇の時代の606年に朝廷で、はじめて行われたようです。
一般的に、13日は祖先を迎える「迎え盆」、16日は祖先を送り出す「送り盆」を行います。この間、家庭では「盆棚」を飾って祖先を迎えます。地域や宗派によって様々な風習がありますが、京都の「五山(ござん)の送り火」は、送り盆に行う「送り火」の一種です。また、盆踊りも先祖や一年以内に亡くなった霊をなぐさめ、送り出すためのものです。伝統ある行事には、それぞれ大切な意味があり、大切な人への思いもあるのですね。- 『世界のお墓文化紀行』
- 『送り火』 重松 清
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冷たいおやつ
8月2日は「おやつの日」です。日本のおやつの魅力と文化を広め、多くの人と笑顔あふれるおやつの時間を共有したいという思いから、日本おやつ協会が制定しました。
「おやつ」という言葉の語源は、江戸時代に一日二食が一般的だった頃に遡ります。和時計の時刻で「八つ刻(やつどき・現在の午後2時~3時頃)」に小昼という間食を摂っていました。その間食を「おやつ」と呼ぶようになり、やがて間食全般を「おやつ」と呼ぶようになったそうです。
8月といえば、夏真っ盛り。見た目にも涼しく、口に入れるとひんやりとする「冷たいおやつ」は夏の暑さを和らげてくれるはず。今年の8月2日、午後3時には「冷たいおやつ」の時間を楽しんでみてはいかがでしょうか。- 『一年中おいしいアイスデザート』 福田 里香
- 『夏期限定トロピカルパフェ事件』 米澤 穂信
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山
8月11日は「山の日」です。山に親しむ機会を得て、山の恩恵に感謝することを趣旨として、2016年に制定されました。日本には、富士山をはじめとするたくさんの山があり、日本の国土の約7割が山地で占められています。日本人は古くから山を崇め、恵みを享受し、自然と共に生きてきました。
「山の日」の前後にはハイキングや山遊びなど、数多くのイベントが行われます。「山の日」をきっかけに、身近な山に親しんでみてはいかがでしょうか。もちろん安全第一。マナーをきちんと守って、山を楽しみましょう。- 『未踏峰』 笹本 稜平
- 『美しい日本の百名山』 PIE BOOKS
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昆虫採集
昆虫採集が楽しみな季節がやってきました。
子どもの頃に家の周りのチョウやトンボを捕まえた経験はきっと誰にでもあるはず。「虫が嫌い」という人も多いかと思いますが、昆虫は私たちのそばにいる身近な存在であり、自然について教えてくれる“先生”でもあります。今年の夏に昆虫採集に挑戦する子どもの参考になる本や、かつて昆虫採集に夢中になっていた元・昆虫少年が懐かしさを感じる本を集めました。
ただし、今年は連日猛暑が続いています。熱中症には十分注意して、昆虫採集を楽しむようにしましょう。- 『ファーブル驚異の博物学図鑑』 イヴ カンブフォール
- 『ぼくらの昆虫採集』
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油
8月23日は「油の日」です。「油の日」は京都にある離宮(りきゅう)八幡宮と油問屋を営む企業によって定められました。
離宮八幡宮は、鎌倉時代から朝廷に油の専売特許を得る「油租」とされていたことで有名で、油を搾油する「長木(ながき)」という装置を開発してエゴマ油を製油していました。これが日本で初めての大規模な搾油のはじまりであるとされ、このことから離宮八幡宮は搾油発祥の地といわれています。
搾油をはじめた当初、油は神社の燈明用として用いられる大変に貴重なものでした。現在では油は私たちにとって身近な存在となり、健康に役立つオイルの研究もさかんに行われています。- 『油の正しい選び方・摂り方』 奥山 治美 ほか
- 『農家が教える手づくり油読本』
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花火
夏になると、豪華な打ち上げ花火を見物したり、庭や川原で花火を楽しんだり――。花火は、日本の夏の風物詩として広く知られていますが、もともとは中国から伝わったといわれています。
花火の原料となる火薬は、戦国時代にはもっぱら武器に使われる貴重な存在でしたが、戦国の世も終わり平和が訪れると武器以外の様々な用途に利用されるようになりました。
花火もその一つで、江戸時代には花火業者や大名の配下の火薬職人たちがより美しい花火を作るために試行錯誤し、競い合って発展させてきたのです。花火はまさに、戦のない平和な世の中に訪れた“平和の象徴”なのかもしれませんね。 -
室町幕府
1338(暦応元)年8月11日、足利尊氏は征夷大将軍に任命され室町幕府を開きました。その後、織田信長の登場まで室町幕府は足利氏が15代にわたって将軍職を継承します。
ところで、近年は空前の“室町ブーム”といわれており、2016年に出版された呉座勇一さんの『応仁の乱』が30万部を突破の大ヒットを記録したほか、亀田俊和さんの『観応の擾乱』も昨年大きな話題となりました。
歴史教科書では足利尊氏の征夷大将軍就任後の争乱は「南北朝時代」と一括りにされて詳しく紹介されていませんでしたが、若手研究者の台頭によりこれまで「地味」だと言われ続けていた室町時代に大きな注目が集まっています。この“室町ブーム”、本を読んで体感してみてはいかがでしょうか。- 『戦国大名と読書』 小和田 哲男
- 『天魔の所業、もっての外なり』 岩井 三四二
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箸?橋??
8月4日は「8(ハ)4(シ)」の語呂合わせから、「箸の日」でもあり「橋の日」でもあります。
まず「箸の日」。「箸を正しく使おう」という民俗学者の提唱で1975年に割り箸組合が制定したとされています。東京の日枝神社では、毎年8月4日に長さ1mの大きな箸を神前に供え、古い箸を焼いて供養する箸供養祭が行われています。
続いて「橋の日」。私たちの生活と文化に密接なかかわりを持つ川や橋に感謝し、橋や河川とのふれあいの日にすることを目的に、宮崎県の橋の日実行委員会が1986年に制定しました。
どちらの記念日も甲乙つけがたく、今回は思いきって「箸の本」も「橋の本」も並べてみました。どちらも気軽にお楽しみ頂ければ、と思います。- 『箸づかいに自信がつく本』
- 『かんかん橋を渡ったら』 あさの あつこ
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帽子
8月10日は「8(ハッ)10(ト)」の語呂合わせで「帽子の日」です。日本では被りもののほとんどを「帽子」と呼びますが、英語では鍔(つば)が全体にある帽子を「hat(ハット)」、鍔がない、もしくは鍔が小さい帽子を「cap(キャップ)」と呼び分けています。
帽子の歴史はとても古く、原始時代には帽子の類似品や、その前身とみられる被りものがあったといわれています。古代の帽子は、階級の象徴、もしくは頭を保護するためのものでしたが、文化の発展にともないファッションアイテムへと変化していきました。
街中に出れば、帽子を被っている人を見かけないことはありません。自分をより魅力的に見せてくれる、自分だけの帽子を探してみてはいかがでしょうか。- 『帽子の文化史』 出石 尚三
- 『おとな帽子+こども帽子』 岡部 淳子
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平和について
1945(昭和20)年8月6日は広島市に、9日には長崎市に原子爆弾が投下され、多くの人が亡くなりました。8月15日、日本はポツダム宣言を受け入れ、太平洋戦争が終結しました。8月は、私たちにとっては大切な月です。あらためて、「平和」について考えてみましょう。本がそのきっかけとなれば、と願いをこめて紹介したいと思います。
- 『避けられたかもしれない戦争』 ジャン=マリー ゲーノ
- 『八月の青い蝶』 周防 柳