追悼2021
コロナ禍、東京オリンピック・パラリンピック、総選挙……と、色々なことがあった2021年も残すところ、あとわずかです。
今年も「さよなら」と「ありがとう」の言葉とともに、亡くなられた方々を偲ぶ季節となりました。
感謝の気持ちをこめて、残して頂いた作品をご紹介します。
立花隆さん(ジャーナリスト) 4月30日逝去
1940年、長崎県生まれ。1974年、現職総理だった田中角栄氏の金脈問題に斬り込んだ『田中角栄研究』を発表し、大きな反響を呼んだ。その後も徹底した取材によるルポルタージュを次々と世に送り出し、宇宙や脳死、サル学、歴史など扱うジャンルやテーマの幅広さから、「知の巨人」と称された。
学ばんとする強烈な意志を持つ者は 何でも学ぶことができる。
半藤一利さん(作家) 1月12日逝去
1930年、東京都生まれ。東京大学文学部卒業後に文藝春秋に入社。「週刊文春」「文藝春秋」編集長などを歴任。退職後に本格的に作家へ転身し、昭和史などをテーマに数多くのノンフィクションを発表。玉音放送までの24時間を描いた『日本のいちばん長い日』など、昭和の歴史を綴った作品で知られる。
人間の眼は、歴史を学ぶことで はじめて開くものである。
『戦争というもの』 より
橋田壽賀子さん(脚本家) 4月4日逝去
1925年、韓国・ソウル生まれ。1949年に映画会社「松竹」に入社。退社後はフリーの脚本家として、NHK連続テレビ小説「おしん」やテレビドラマ「渡る世間は鬼ばかり」など、数多くの人気作品を世に送り出した。1992年に「橋田文化財団」を設立。「橋田賞」を創設するなど、後進の育成にも力を注いだ。
もうだめかなと思ったときに 転機となる出会いに恵まれました。
篠田桃紅さん(美術家) 3月1日逝去
1913年、中国・大連市生まれ。幼い頃から家庭で書の手ほどきを受け、戦後は墨による抽象表現を追求。1956年、単身ニューヨークに渡り、創作活動に励む。世界的な評価を獲得しながらも、それまでの伝統や世間一般の常識に果敢に挑み続けた。狭いジャンルに限られたくないと、自ら「美術家」と称した。
たいていのことは受け止めて喜ぶほうが、人生は得ですよ。
『これでおしまい』 より
瀬戸内寂聴さん(作家) 11月9日逝去
1922年、徳島市生まれ。東京女子大在学中に結婚し、一児の母となるが出奔。57年に本名の瀬戸内晴美でデビュー。63年、自身の恋愛に基づく小説「夏の終り」で女流文学賞を受賞し、人気作家に。73年、51歳で出家して法名「寂聴」に。生涯で400を超える著作を出版したほか、ユーモラスでわかりやすい説法でも人気を集めた。
幸せは外から与えられるのを待っていてはいけませんね。自分で自分を楽しませたり、よろこばせたりしなくては。
『笑って生ききる』 より
那須正幹さん(児童文学作家) 7月22日逝去
1942年、広島市生まれ。78年に『それいけズッコケ三人組』が出版され、2015年に完結するまで、全61巻を刊行。ハチベエ、ハカセ、モーちゃんの3人組が互いの短所を補いながら活躍する物語は、シリーズ累計2500万部を超える大ヒットとなった。また、3歳の時に広島で被爆した経験から、平和の大切さを次世代に伝える作品の執筆にも力を入れた。
「いいじゃないか、ぼくも、きみも、いっしょうけんめいやったんだもの。最後は、すこしズッコケちゃったけどね。」
エリック・カールさん(絵本作家) 5月23日逝去
1929年、ニューヨーク州生まれ。少年期に家族と西ドイツに移住し、絵を学ぶ。52年にニューヨークに戻り、グラフィックデザイナーに。67年に『くまさんくまさんなにみてるの?』で絵本作家デビュー。色を塗った薄い紙を切り貼りする手法で、色彩豊かな数々の作品を生み出した。代表作『はらぺこあおむし』は現在60以上の言語に翻訳され、5千万部以上が出版されている。
絵本のおかげで、私は多くの国の子どもたちと知り合いになった。
『子どもの夢を追って』 より