少し懐かしい話を書きます。今から5年以上前に閉店してしまったのですが、名駅にはかつて「ロゴスキー」という名前のロシア料理店がありました。私の母は、作るのも好きですが、食べるのも大好き。母の学生時代に友人と通ったという「ロゴスキー」に、はじめて連れていってもらったのは小学校の高学年だったか、中学生だったか、という頃でした。
少し低めの天井とやや暗い照明、店内のあちこちに飾られていたマトリョーシカをはじめとするロシア雑貨。そして、やや酸っぱい赤い色のスープ「ボルシチ」や、ぷっくりと丸く膨れた「ピロシキ」、パン生地に覆われた壺に鶏肉がゴロゴロ入ったホワイトソースが入っている「つぼ焼ききのこ」、最後に出てくるトロリとしたジャムが舌に残る甘い「ロシアンティー」・・・。それは、はじめて「外国」の味を知った幸福な時間でした。
この1週間に報道された「ロシア」についてのニュースを見て、最初に思い出したのが、なぜかこの「ロゴスキー」のことでした。
「ウクライナ」という国の名前を聞くと、私と同世代のサッカーファンはたぶん1人のサッカー選手の顔がパッと頭に浮かぶと思います。「ウクライナの矢」とよばれたミランの7番、アンドリー・シェフチェンコ選手。それほど大柄ではないのに、大一番で点を獲りまくった点取り屋。闘志あふれるプレーと、青く澄んだ美しい瞳が印象的な名選手です。
北京オリンピック、パラリンピック、そしてカタール・ワールドカップと、大きなスポーツイベントが目白押しの2022年に「ロシア、ウクライナに侵攻」というニュースを聞くことになるとは・・・。スポーツは「平和」なくしては存在しません。豊かな領土と歴史を持つロシアは「もっと、もっとほしい」が止まらなくなってしまったのでしょうか?とても残念に思います。
CL決勝の開催地がロシアからパリに変更となるなど、スポーツ界も影響を受けて始めています。来月4日、つまり間もなく開幕する北京パラリンピックに出場を予定しているウクライナ代表の選手の胸中を思うと、言葉もありません。28日しかない2月も、残すところ今日も合わせてあと2日です。少しずつ春も近づいていますが、世界中に平和な春が訪れることを心から願っています。
・『家庭で作れるロシア料理』・・・たまに、なぜ子どもだった私を母はそんなレストランに連れて行ったのかな、と考えたりします。我が子に広い世界を見せたかった・・・とかではなく、たぶんただ純粋に美味しいものが食べたかったのだろうな、とこの本を見ていて思いました。連れていってくれて感謝、感謝の一言ですが。
・『ときどき旅に出るカフェ』近藤史恵/著・・・海外の珍しいメニューを提供するカフェ・ルーズを舞台に、世界の美味しいスイーツが日常の謎を解くヒントとなるミステリ。まだまだ海外旅行は難しいですが、こんな「旅」は素敵ですよね。作中には「ロシア風チーズケーキ」も登場します。
・『悪者見参 ユーゴスラビアサッカー戦記』木村元彦/著・・・「スポーツ」と「戦争」といえば、思い出すのがこの一冊。名古屋グランパスで選手・監督として活躍したストイコビッチ選手とユーゴスラビアについて丁寧に取材を重ねた傑作です。『オシムの言葉』と合わせて読んで頂きたい作品です。