コーナー9「図「食」館へようこそ」

夏が過ぎて、秋……さて、秋といえば?

長くて暑かった今年の夏が過ぎ、ようやく秋が訪れようとしています。
秋といえば、“食欲の秋”、そして“読書の秋”。

ということで、2つの秋を一度に楽しめるコーナー展示を企画してみました。
題して、“図「食」館へようこそ!”。

「食」を題材としたエッセイや、美味しそうな食べ物が登場する小説、読むだけでも楽しいレシピ本など、さまざまな角度から「食」を取り上げた本をたっぷりと集めました。
どうぞご賞味、いやご愛読下さいませ。

ご飯とパン、たまに麺

『JA全農が炊いた!「日本一うまいお米の食べ方」大全』表紙

『JA全農が炊いた!「日本一うまいお米の食べ方」大全』 JA全農米穀部/監修 主婦の友社

私たちの食卓に欠かせないお米。お米を美味しく食べるためのレシピを、「のっけ&かけ」「炒め」「混ぜ&炊き込み」「にぎり」などの調理法別に紹介。お米のおいしい食べ方を365日考えているJA全農米穀部の“お米愛”が詰まった一冊。
ドライカレーやビビンパ、雑炊まで網羅する「パックごはんアレンジ」等、ユニークなアイデアにもビックリ。

『山口恵以子のめしのせ食堂』 山口恵以子/小説・クニヒコ/めしのせ案内 小学館

東京の片隅で夜だけ営業する「めしのせ食堂エコ」のメニューは、ガスで炊いたご飯と、こってり系とあっさり系の2種類の味噌汁、そしてお取り寄せの“ご飯のおとも”、お酒少々のみ。今夜も、食堂を舞台に心とお腹が満たされる物語が紡がれます。
“ご飯のおとも”専門家・長船クニヒコさんによる「めしのせ案内」も楽しめます。

『峠うどん物語』(上)(下) 重松清/著 講談社

市営斎場の向かいに建つ、うどん屋「峠うどん」。中学2年生のよっちゃんは、祖父母が営む「峠うどん」のお手伝いを通じて、斎場で故人を見送ったお客さんたちの別れの場面に接します。
「人の死」、そして「命」というテーマを描いた、心がぽかぽかと温まる小説です。

『日本全国地元パン』 甲斐みのり/著 エクスナレッジ

「地域に根付くパン屋が焼き、そこに暮らす人が共通して味わうパンは“まちの味”になる」著者が冒頭で掲げたこの言葉に全ての思いが詰まっています。著者が日本全国を旅する中で出会った、ずっと残したい「地元パン」が大集合。パラパラとページをめくるだけでも笑顔になれる、「地元パン」への愛情を感じる一冊。

『こんがり、パン』 津村記久子・穂村弘 ほか/著 河出書房新社

古今の作家41人が書いた「パンにまつわるエッセイ」をまとめた一冊。江國香織が「幸福そのもの」だと思うフレンチトースト、サンドイッチを楽しく飾りつける中原淳一のアイデア、高校に来ていたパン屋さんとささやかな文通を楽しんだ岸本佐知子の記憶……。
パンにまつわるエッセイには、なぜか懐かしい思い出も詰まっているようです。

おやつのない人生なんて……

『御子柴くんの甘味と捜査』表紙

『御子柴くんの甘味と捜査』 若竹 七海/著 中央公論新社

長野県警から警視庁捜査公助課へ出向した御子柴刑事。県警内ではなぜか「東京のおつかいを頼むなら御子柴に」という共通認識がまかり通ってしまい、甘党の上司や同僚から何かしらスイーツを要求される毎日。
タイトルには「哀愁のくるみ餅事件」、「不審なプリン事件」など、甘味の名前がつく短篇集だが、事件はビターでクセが強いものばかり。さて、捜査の行方は?

『おばあちゃんとおやつ』 産業編集センター/編 産業編集センター

全国各地のお菓子づくりが好きなおばあちゃんが大切に作ってきたおやつとレシピを紹介するエッセイ。くずまんじゅう、揚げ餅、鬼まんじゅう……
懐かしいおやつの思い出と、愛らしいおばあちゃんの写真に、ほっこりしてみませんか?

『素晴らしきお菓子缶の世界』 中田ぷう/著 光文社

おいしいお菓子を食べ終わっても残る、見るだけでも可愛くて楽しいお菓子缶を、45年来の“お菓子缶マニア”である著者が、歴史や物語も深掘りして紹介する一冊。本来は、湿気や光、衝撃から中のお菓子を守るための工業用品だったお菓子缶は、私たちのいちばん身近にあるアート、と著者は語ります。
巻末の「空き缶再利用アイデア」も、著者の“お菓子缶愛”を感じます。

『作家のお菓子』 コロナ・ブックス編集部/編 平凡社

あっという間に一箱ペロリと食べた水木しげる、摘んだきいちごでフルーツケーキを手作りした岸田衿子、酒よりもこよなくあんこを愛した江戸川乱歩、指でつまめるものを好んだ吉行淳之介……。
作家26人のお菓子にまつわるエピソードを紹介する一冊。お菓子にも作家それぞれの個性が現れるようで、興味深いですね。

『お菓子の船』 上野歩/著 講談社

製菓学校を卒業したワコは、亡き祖父が作ってくれた「どら焼き」を再現することを夢見て、老舗和菓子店に就職。修行に励む中で、祖父が太平洋戦争へ出征中に“お菓子の船”と呼ばれていた給糧艦「間宮」に乗っていたことを知る。
祖父の「どら焼き」の謎を解くため、当時の乗員に会って話を聞くうちに、祖父の知らなかった一面を知ることに……。

外食万歳!

『わたしの名店』表紙

『わたしの名店 おいしい一皿に会いにいく 三浦しをん ほか/著 ポプラ社

作家、お笑い芸人、アナウンサー、俳優など、各方面で活躍する28人が「おいしい一皿」について綴ったエッセイ集。大切な時間の「ひとりお寿司」、気分が落ち込んだまま回復しない時に魅了された「ラムチョップ」、懐かしい故郷の「ズロンズロンのうどん」……
あのお店の、あの一皿があるから頑張れる瞬間があるのかもしれません。

『最高のアフタヌーンティーの作り方』 古内一絵/著 中央公論新社

都心に広大な敷地を有する桜山ホテルを舞台にした小説。念願のアフタヌーンティー担当へと異動となった涼音は気合を入れて企画書を作るが、シェフ・パティシエの達也から「目新しければいいってもんでもない」と却下されてしまう。一方の達也も、どれだけ努力しても、どうにもならない悩みを抱えながら仕事を続けていて……。

『〈図説〉世界の外食文化とレストランの歴史』 ウィリアム・シットウェル/著 原書房

古代ローマ時代のポンペイの居酒屋に始まり、貴族のお抱え料理人がフランス革命で一斉に解雇された結果「レストラン」が誕生した逸話や、大阪で生まれた「寿司ベルトコンベア」が瞬く間に世界へ広がった経緯、さらに五感を刺激する未来の料理まで。「外食」を巡る三千年の旅に出発してみませんか?

『喫茶アネモネ』(1) 柘植文/著 東京新聞

とある町にある、ちょっとした商店街の、ちょっとした喫茶店「アネモネ」を舞台にした、新聞連載漫画を単行本化した一冊。謎めいた(?)マスターと、バイトのよっちゃんが切り盛りする空間には、ほっこりした空気が流れています。個性豊かな常連さんとの濃厚なやり取りには、愛知県ならではの喫茶店文化をほのかに感じるような……。

『星をつける女』 原宏一/著 KADOKAWA

世界的な「食の格付け本会社」を辞めて独立し、「イート&リサーチ」を立ち上げた牧村紗英は、中学生の娘を持つシングルマザー。絶対的な味覚と経験に裏打ちされた知識を駆使し、学生時代の先輩で、元俳優の真山幸太郎を相棒に、人気店の覆面調査に乗り込む。さて、真実の星はいくつ?

偏愛🖤一品

『玉村豊男のポテトブック』 玉村豊男/著 朝日出版社

料理や食文化に関する本で知られる著者による、ジャガイモづくしのエッセイ集。ジャガイモの起源や歴史、ウンチクを解説するとともに、揚げる、焼く、炒める、茹でる……とバラエティ豊かな料理法をたっぷり紹介。食べれば尽きない滋味がある、ジャガイモに夢中になれる幸せを、是非ともあなたにも味わって頂きたい!

『うなぎ女子』 加藤元/著 光文社

お不動さんの参道にある小さな鰻屋「まつむら」を舞台にした連作短篇小説。各章のタイトルも、肝焼き、う巻き、うざく、うなぎの刺身、うな重……と、うなぎ尽くしです。1人の男性と、彼をめぐる5人の女性の“あまじょっぱい”物語が描かれます。大人には、心をいっぱいにしてくれるごちそうが、ときどき必要になるのかもしれませんね。

『ハルマキ100本ノック』 島田由美子/著 光文社

大さじ4杯の油だけを使って、フライパンで揚げ焼きする、従来の“春巻”とは一線を画す“ハルマキ”100本のレシピを紹介。大根+干し柿+生ハム、りんご+カマンベール+塩昆布、桃+豆腐+クリームチーズ……。春巻きの皮は無限大のキャンバス。「これを巻いてみたら、どうなるかな?」という素朴な好奇心がすべてのスタート。
さて、あなたは何を巻く?

『おあげさん』 平松洋子/著 パルコエンタテインメント事業部

『おあげさん』のタイトルそのままに、油揚げにまつわるエッセイのみが29篇収録されています。名脇役の印象が強い油揚げですが、この本の中では縦横無尽の大活躍!丁寧に味付けされた油揚げのように、心にもじゅわっと染み~る1冊です。

『ハンバーガーとは何か?』 白根智彦/著・吉澤清太/調理技術監修 グラフィック社

30年以上、国内外のハンバーガーを研究し続ける著者が、ハンバーガーの歴史や調理方法、技術について熱く語る一冊です。圧巻は、ハンバーガーの組み立て=ビルドにまつわる考察。レタスが上か、ミートパティが上か?さらに、トマトが上か、タマネギが上か?ミートパティは上側、中側、下側のどこに積むのか?……悩みは尽きませんね。

あの人、この味。

『おいしいふ~せん』表紙

『おいしいふ~せん』 角野栄子/著 NHK出版

『魔女の宅急便』『小さなおばけ』シリーズで知られる童話

作家・角野栄子さんが「食」にまつわる思い出を綴ったエッセイ集。グリンピースの入った「水玉ごはん」、ちょっぴりほろ苦い「たんぽぽサラダ」、そして「みそ汁問題」……。著者によるカラフルなイラストを見ているだけでもウキウキします。

『ミッフィーの食卓』 林綾野/著 講談社

「ミッフィーは何を食べているの?」という素朴な疑問から、オランダの食生活が覗ける一冊です。
お米を食べる習慣のないオランダでミッフィーが食べている「おかゆ」は何で出来ているの?赤ちゃんが生まれた時にミッフィーが学校へ持っていったお祝いのお菓子とは?……再現レシピも掲載されているので、自分で作って味わうこともできます。

『海苔と卵と朝めし』 向田邦子/著 河出書房新社

脚本家、直木賞作家、そして名エッセイストとして知られる向田邦子さん。没後40年が経った現在も熱い人気を集める著者の「食」にまつわるエッセイを集めたのが本書。味醂干し、カルメ焼、海苔巻きの端っこ……懐かしい昭和の食卓や旅の思い出の味が甦ります。
あなたの“思い出の味”とも再会できるかも?

『朝日文左衛門の食卓』 大下武/著 ゆいぽおと

江戸時代、尾張徳川家に仕えた中級武士・朝日文左衛門が26年間書き続けた日記『鸚鵡(おうむ)籠中記(ろうちゅうき)』には、およそ300回にわたり、料理の詳細なメニューが記載されています。特に、お正月や結婚披露宴など、特別な日の料理は一品一品を丁寧に紹介しているので、こっそりお膳を覗いている気分になれちゃうかも?

『伊丹十三の台所』 つるとはな編集部/編 つるとはな

映画監督やエッセイストとして活躍した伊丹十三は、若い頃から好みの器を揃え、吟味した道具を使い、家族はもちろん、来客にも料理の腕をふるっていました。作ること、食べることを純粋に楽しんだ伊丹十三の世界に触れてみませんか?
食エッセイの傑作「スパゲッティのおいしい召し上り方」は是非ご一読、ご賞味を!

この場所、あの味。

『図書館のお夜食』表紙

『図書館のお夜食』 原田ひ香/著 ポプラ社

ある事件をきっかけに身も心も疲れてしまった書店員の乙葉は、ひょんなことから亡くなった作家の蔵書が集められた「夜の図書館」で働くこととなる。夜7時~12時まで開館する図書館に併設された食堂では「まかない」を注文することができ、オーナーの指示で「小説やエッセイの中に入っている料理」が提供されていた。そんな風変わりな図書館で起こる事件を描く小説。

『日本のグルメ図鑑』 地球の歩き方編集室/編集 ポプラ社

旅が豊かになる雑学が詰まった地球の歩き方「旅の図鑑シリーズ」。北は北海道、南は沖縄まで47都道府県別に名物料理を紹介しています。伝統料理だけでなく、地元で愛されるローカルフードも取り上げ、その成り立ちや食べ方も解説。お雑煮や駅弁、給食についてのコラムも読みごたえがあります。掲載料理数1000超とボリュームたっぷりの一皿、いや一冊。

『独裁者の料理人』 ヴィトルト・シャブウォフスキ/著 白水社

カンボジアのポル・ポト、イラクのサダム・フセイン、ウガンダのイディ・アミン。20世紀に名を残す独裁者に仕えた料理人たちの悲喜こもごもの人生を描いたルポルタージュ。一歩間違えれば死の危険に見舞われる独裁体制下を、料理の腕と才覚で生き延びた料理人たち。その声に耳をすませば、独裁者たちの心の中も見えてくるようで……。

『南極の食卓』 つるとはな渡貫 淳子/著 家の光協会

第57次南極地域観測隊の調理隊員として、30人分の食事を1年2ヶ月にわたって作り続けた著者によるエッセイ。食材は南極に行く前に仕入れた分だけ、ゴミは全て日本に持ち帰る……等、数多くの制約の中で少しでも美味しく、楽しい食事を提供したいと働く著者の姿がまぶしい一冊です。熱湯をかけながら流す「氷上流しそうめん」やSNSでも話題となった「悪魔のおにぎり」等の楽しいエピソードも満載。

『みんなの機内食』 機内食ドットコム/著 翔泳社

「機内」という狭い限られた空間で頂く機内食。近年は有名シェフとのコラボが話題となる等、工夫を凝らしたものも増えています。また、機内食にはそれぞれのお国柄が反映されており、各国の食文化を知り、味わうこともできます。雲の上のレストランのご馳走を、飛行機に乗ったワクワク感と共に味わってみませんか?

ページの最初に戻る